2020.5.30
食事と腸と肌の密なカンケイ
ちゃんとスキンケアしていたはずなのに、突然現れる吹き出物や、肌荒れなどの肌の不調。皆さまも経験したことがありますよね。
そんな肌トラブル、今や考えが浸透したことにより多くの方が「もしかして最近の食生活が悪かったのかも」と食事に目を向けてその原因を考えるようになっているでしょう。
「美容のためには食事が大事!」
もちろん、美肌づくりに直接関わる栄養素を摂取することもそのひとつですが、今回の育菌アカデミーでは皆さまがなんとなく理解しているその因果関係を、腸内の常在菌「腸内細菌」に視点を当ててお話したいと思います。
腸内細菌と肌荒れの関係
私たちの腸内には約100兆個の常在菌が存在しているといわれます。
肌の上で美肌菌が重要な役割をするように、腸では腸内の常在菌「腸内細菌」がお腹の調子を左右する重要な役割をします。
お腹の調子が悪くなると頼りたくなる整腸剤や乳酸菌飲料、ヨーグルトでもおなじみですよね。私たちは普段から腸内細菌のバランスを整えるための成分(乳酸菌・ビフィズス菌など)を取り入れることでお腹の調子を整えています。
では、腸内細菌バランスが乱れたときと、腸と肌の間では何が起きているのでしょうか?
腸内で生産された物質は、良いものも悪いものも腸から吸収されて全身の血管を巡り、皮脂腺から排出されます。
食事やストレスなどの原因で腸内環境が悪くなってしまうと、腸内細菌バランスが乱れてしまいます。つまり、善玉菌が住みにくくなり、反対に悪玉菌が増殖してしまう環境になるということ。
増殖した悪玉菌は腸内にアンモニア、フェノール、硫化水素などの腐敗物質を生み出します。
それらの成分は腸内で直接吸収されて、血管を経由して全身を巡ります。最終的に毛穴や皮脂腺などから肌に到達し、「肌荒れ」を起こしてしまうのです。
便秘が続くとき、同時に肌の不調を感じたことはありませんか?便秘は腸内の悪玉菌が優位になると起こる代表的な症状ですが、肌の不調も一緒に現れやすいのは、悪玉菌の発する有害物質に原因があったのですね。
では腸内細菌と肌の関係を裏返して考えるとどうでしょう?
腸内環境が整っていて善玉菌が多いと、腸の働きが活性化されるので、適切な排出が行われます。また腸内に取り込まれた有益な栄養素が全身を巡り、肌へと働きかけてくれるようになります。
お腹の調子が良いとき・排便がスムーズにできているときは肌の調子もよく感じているはずです。
善玉菌を増やす食事
腸内細菌のバランスは肌のバランスより乱れやすいので普段から意識が必要です。
腸内を理想的な細菌バランスにするためには、善玉菌を活性化する食事を積極的に摂るのが良いといわれています。
それでは善玉菌を増やす食事を3種類ご紹介します。
①水溶性食物繊維を摂取する
食物繊維には「不溶性」と呼ばれるものと「水溶性」と呼ばれるものがあります。
「不溶性」の食物繊維はブラシのように腸内の汚れをこそぎ取る役割がありますが、善玉菌のエサとなり、菌が育ちやすくしてくれるのは水溶性食物繊維。
主に海藻類やキノコ類、サトイモ、こんにゃく、オクラ、ゴボウ、ニンジン、納豆などがあげられます。
便をやわらかくする効果もあるのでお通じが良くなることも期待できます。
②オリゴ糖を摂取する
オリゴ糖も、水溶性食物繊維と同様、善玉菌のエサとなる成分です。
主に玉ねぎ、サトウキビ、ごぼう、アスパラガス、じゃがいも、トウモロコシ、バナナ、大豆などがあげられます。
③発酵食品を食べる
発酵食品が身体に良いとされる理由はまさに「菌」の働き。
ヨーグルト、味噌、納豆、ぬか漬けなど、素材が発酵することで腸内細菌バランスを整える様々な善玉菌(麹菌・酵母菌・乳酸菌など)が含まれるようになります。
味噌汁は食物繊維やオリゴ糖を含んだ野菜も一緒に取れるので、ぜひ毎日の献立に加えてあげましょう!
いかがでしたか?
食べたものが腸をつくり、腸を経て身体を巡り、肌にまで現れるということを考えると、「食べるものがその人(身体)をつくる ( You are what you eat )」という諺も納得ですね。
腸内環境はストレスや自律神経等も影響しますが、食事は今日からでも変えることができます。ぜひ、ストレスを感じない範囲で(重要です!)、取り入れてみてくださいね。
【参考文献】
LB81 乳酸菌を使用したヨーグルトの皮膚機能改善効果に関する検証(伊澤、野間ら/2008)
食品成分データベース(文部科学省)
https://fooddb.mext.go.jp/
【アーカイブ】
≫育菌アカデミー③「肌質に合わせて!自分でできるスキンケア微調整のススメ」
≫育菌アカデミー⑤「美肌への近道!バリア機能の高い肌とは?」
≫育菌アカデミー⑥「『花の万能薬』育菌を支えるダマスクローズのお話」
≫育菌アカデミー⑦「嗅覚から、美しくなる。ダマスクローズの香りの効果」
≫育菌アカデミー⑧「春夏秋冬、季節のダメージから美肌菌を守るために」
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