2021.5.28
宇宙の計らいで出会う、運命の植物たち(後編)
その時には意味がよくわからなくても、なぜだか衝動的にその土地にいきたくなったり、その人に会いたくなったり、それを取り入れたくなったり。
引き寄せられるようにして出会う土地や人、ものたち。
そして出会った後からじんわりと、その出会いの意味、人生に与える影響などが明らかになってきて、あぁ、これは宇宙の計らいのめぐり合わせだったんだなぁ・・・としみじみと思う経験。
みなさまも、人生の中でいくつかあるのではないでしょうか。
前回はそんな中でも、HANA ORGANICの創設当時の開発にあたって、わたしが運命的な出会いだと感じたダマスクばらについて、お話させていただきました。
今回はそれから10年。
10周年にどうしてもこれを世の中に出さなければ、と思って製品開発をしていた時に巡り合った植物、「老山白檀」についてお話したいと思います。
2020年。
あまりにも目まぐるしく変わる日常の中で、最初は戸惑ってみたり、不安に駆られてみたりしながらも、だんだんと自分を守るために物事に鈍感になってみたり、心を閉ざしてじっと嵐が過ぎるのを待ちたい心持ちになっていた私達。
そんな日常を少しでも楽しく、心地よくできないかと、香りを楽しめる手指スプレーやハンドクリーム、ヘアカラーなどを開発してきていました。
そんな時にふと、
「マスク生活でもうずっと口紅塗ってないよね。」
「外に出ないからメイクもしないし、ピアスもしないし、なんか自分までくすみそう」
そんな声を耳にしました。
人に会わなかったり、マスクをしているのであれば、口紅や色を使う必要はないはずです。
それでもわたしたちは、色やきらめきを欲している。
これは女性としては本当に奥深いところから湧き上がる欲求だなぁと感じました。
でも、ポーチの中には2019年と変わらずに口紅や色とりどりのカラーも入っているはず。だけど、それを使いたい気持ちになれない。これはなぜなんだろう。
ふとわたしの鞄の中に目をやると、お守りとして持ち歩いている塗香(ずこう)と呼ばれる塗るお香と、五鈷杵という密教の法具がありました。
陰陽五行を学んでいた6,7年前に出会い、古代の人たちの目に見えない邪悪なものから身を守るための叡智や、少しずつ解明されてきているその効能に感銘を受けて、しばらく持ち歩いていたものでした。
それでもここ2,3年は自宅に置きっぱなしの時も多くなっていたのに、2020年は気が付いたらしっかり毎日持ち歩いていたのです。
あぁ、わたしたちは守られていて安心できたときにはじめて、色や光をまとって輝きを放ちたい、と思うんだ。はっと気付いた瞬間でした。
それなら、この古代から伝わるお守りをなんとか今を生きる女性たちに届けることはできないか。
特に香木の粉を用いた塗香は、植物の力を使ったHolistic Careの原点のようなもの。
またその成分には、次々と抗菌、抗ウィルス作用や、心のバランスを整える作用が解明されてきていました。
そこで塗香の中心的な成分であり、もっとも聖なるものとされているインドのマイソール地方の「老山白檀」の香粉を使いたい、そう思い立って探索をはじめました。
ところが。
ただでさえ希少な原料で、日本に出回るのはわずか。さらに仏教法具として長年用いられてきたので、化粧品原料としては出回っていない。
研究所や原料メーカーさんあちこちお声かけをして、ネットでもリサーチし、お香の問屋さんにも問い合わせて・・・それでも化粧品として使えるものが見つからず、「あぁ、今はこの製品は世に出る時期じゃないのかもしれないな・・・」と、諦めかけていたその時。
後輩社員の女性から、「林田さん、展示会に行ったら林田さんが探していた白檀の粉がありましたよ~!!」というびっくりするような朗報が。
送られてきた資料はまさに探していたものであり、それを上回るもので、テレワークじゃなければ教えてくれた彼女に抱きつきたい気持ちでいっぱいでした。
春には発売したいと思っていた製品開発、ぎりぎりのタイミングでの出会い。
実際にはインドのマイソール地方から同じ気候帯であるオーストラリア北部に移植して、理学博士や森林学、生物学、いろんな専門家が壮大なプロジェクトを組み、20年かけて栽培方法を確立させたものでした。
パウダーと一緒に、樹木の心材が送られてきました。
伐採されてずいぶん経つのに、あの塗香と同じ深く深く気持ちを静めてくれるような香りに、心が震えました。
「はい、確かに受け取りました。これを女性たちに届けますね。」
与えてもらった役割をしっかり果たさなくては、気持ちがきりりと引き締まったのを覚えています。
その後も、ダマスクばらと出会ったときと同じように、深く老山白檀のことを調べたり、クィンティスの方から世界各地の宗教や祈りの中で使われてきたという伝承を聞くたびに、今わたしたちがどれだけ必要としているかをしみじみと実感していきました。
白檀は栽培方法の確立に20年以上もかかるのも無理がなく、非常に変わった植物。
発芽して1年は自立して成長し、その後はなんと根を伸ばして他の植物の根に吸盤のようにしてピタッと吸い付き、そこから養分を吸い上げて成長するという「寄生植物」なのです。
しかもさらに珍しいのは、成長と共に宿主を乗り換えて、何種類もの草や樹木に寄生をして大きな大木に育っていくのだとか。
なんというか・・・・聖なる樹木といわれていますが、その生態はなんだか魔性の生き物という感じ。ダマスクばらが生命の象徴とするならば、白檀は冥界の門に立つ番人のよう。
光と闇、闇の世界の入口に立ち、そちらへ飲み込まれないようにわたしたちを支えてくれる。
唯一無二のその守る力は、そんな魔性の生態だからこそ生み出されたのかもしれません。
無事に老山白檀の香粉をバームに練りこみ、真珠やパール剤できらめきを引き出す「守るからこそ、光を放てる」新製品、塗香ルミナイザーとして誕生することができました。
創業時に出会ったダマスクばらと、10年を経たこの時に出会った老山白檀。
きっと女性たちの今に何か手を差し伸べたいと思った「大いなるもの」からのギフトだったのでしょうね。
何千年も大切に用いてきた光と闇をつかさどる2つの植物に守られて、わたしたちは心から安心して本当のわたしに還ることができる。
ありがたくその力をお借りしようと思います。
written by:
HANA ORGANIC 創設者 林田七恵
1975年生まれ。20年以上にわたって化粧品開発・美容健康の情報発信を行ってきたHolistic Care探求者。2011年HANA ORGANIC創設、現在は夫と小学生の男の子と共に福岡在住、糸島の自然の中でフラの探求も行っている。
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