早い人は10代から始めているヘアカラー。若い時は、好きな時に染めてファッションの一部として楽しんでいたけれど、40代になり白髪が増えてくると、いつしか義務化されていく白髪染め。
「いつまで染めればいいのだろうか」「白髪染めが痛い」「髪染めの薬剤は頭皮に悪いのでは?」などなど、悩みや疑問も増えてきます。

人生100年といわれるこの時代に、私たち女性はどう白髪と共存していけばいいのでしょうか。
今回は毛髪診断士でもあり、女性誌の美容エディターとしてご活躍の伊熊奈美さんを講師にお招きして、髪染めが髪や頭皮に及ぼす影響やヘルシーな頭皮のためのカラー方法についてお話しいただきました。

▼まずは、知っておきたい、ヘアカラーについて

世界中で最も広く使用され、私たちが自宅や美容室で髪を染めるのに使われている染毛剤は「酸化染毛剤」と呼ばれるもの。酸化染毛剤の有効成分である「パラフェニレンジアミン」は、強い薬剤のため、体質や肌状態によってはかぶれやアレルギーの原因となるとのことで、使用時には、使用上の注意を守り、使用の前には、本来毎回のパッチテストが必用とされています。

さらに、酸化染毛剤は強力な頭皮ダメージをもたらし、本来のヘアサイクルを短縮化し薄毛の原因となる可能性もあるため、皮膚に付着しないように心掛けることが重要なのですが、日本では根元から白く染めたいという女性の要望からか、いつからか頭皮にまでべったりと付けてしっかり染めるサロンが多くなったとのことでした。

また最近では、香草カラーやオーガニックカラーと謳ったカラー剤も存在し、取り扱うサロンも増えていますが、やはりその中にも「パラフェニレンジアミン」は使用されているそうなので、同じく注意が必要だとのことでした。

日本ヘアカラー工業会HPより

▼ヘアカラーが頭皮に及ぼす影響

さて、そんな「酸化染毛剤」ですが、いったい何がダメージの原因となるのでしょうか。それは以下の3つの薬剤だそうです。

  • 髪のキューティクルを膨張させる「アルカリ剤」
  • 毛髪内部で白髪を黒く染める色素。過酸化水素により発色して髪の内部にとどまる「パラフェニレンジアミン」
  • メラニンを脱色してパラフェニレンジアミンを酸化し発色させる「過酸化水素」

中でも、「パラフェニレンジアミン」は、接触皮膚炎やアレルギーを引き起こす恐れがあるものとして、知る人も多い薬剤。
花粉症と同じように一度感作が成立してしまうと、アレルゲンに接触するだけで反応が起こり、ひどい人はアナフィラキシーにつながることもあるそうで、日本では旧表示指定成分にも指定されています。
また、すでにヨーロッパ諸国では、発がん性の危惧があるということで使用が禁止されているそうです。
しかし、残念なことに濃い色素が必要とされる日本人の白髪染めには、なくてはならない薬剤とのことで、アレルギーのリスクを承知しながらも、各メーカー手放すことができないのが現状だとか。

さらに驚いたのは、「アレルギーを引き起こす確率は、髪染めの回数に比例して高まる」というお話。最近は10代からヘアカラーをしている人が多いせいか、白髪が本格化する40代ですでに髪染めができなくなる人も増えているとのことで「誰もが髪染めをできなくなる可能性がある」という、女性にとっては死活問題ともいえる話題でした。

次に「過酸化水素」。別名、オキシドールと呼ばれる過酸化水素は、消毒剤としても使用されている薬剤です。昭和世代のヤンキーが髪を金髪にするために使っていたのがまさにこれだそうです。
白髪染めを始めると、白髪が急に増えたと実感する人がいらっしゃるようですが、それは事実とのことで、髪の幹細胞研究の第一人者である東京医科歯科大学の西村栄美さんも過酸化水素の使いすぎは白髪を増やすと警告しているとのことです。

そしてアルカリ剤。こちらも刺激を引き起こす可能性があるそうで、ジアミンアレルギーが、使ってから2〜3日後に症状が出るのに対し、アルカリ剤によるアレルギーは、付けてすぐにピリピリする、痛い、しみるといった刺激だそうです。これは一時的な刺激性の皮膚炎なので、水でしっかり流せば時間と共に落ち着くもので、頭皮の状態によっては誰にでも起こり得るものとのことでした。

つまるところ、ヘアカラーは強い薬剤なので、健康な頭皮で臨むことが何より大切だということ。
そして、末永くヘルシーな頭皮でいるためには、髪染めの間隔をできるだけあけることも大切だとのお話でした。

最後に、なるべく安全にリスクなく染めるための、自分でできる対処法を教えてくださいました。
ちょっとした工夫で、頭皮ダメージを大きくしないことができますので、是非、皆さんもお試しいただければと思います。

▼頭皮リスクを抑える自分でできる対処法

  • 生理中、寝不足、体調が悪い時はカラーを控える。
  • 皮脂には頭皮を守る働きがあるため、カラーをする前日はシャンプーを休む
  • サロンでは「カラー剤がしみやすい、かゆい」と事前に伝え、頭皮に薬剤が付着しないようお願いする。
  • カラー後は1週間は、カラー後の頭皮をケアするシャンプーを使い、頭皮環境を整える。

他にも天然100%の髪染であるヘナを用いるという方法もあります。ヘナは色味の調整が難しいといわれていますが、ご自身の工夫や専用のサロンなどの力を借りれば随分と思い通りの色になるとのこと。

人生100年時代、自分が染めたいと思う時まで染め続けられるよう、健康な頭皮を維持しましょう。