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2019.8.29

私たちが忘れていた女心。「髪は女の命」の歴史

「肌は一生もの」という意識が高い私たち。でも髪の毛も年齢と共に細く抜けやすくなると、大切にしなければと意識が高まってきます。

 

そもそも、髪は古来から現代女性が考えている以上に大切なものとして扱われてきました。「髪は女の命」と言われていた伝承的な日本人の考え方を改めて調べてみました。

 

▼髪は3000年死なない?最後までこの世に残る私たちの分身

男女関係なくスキンヘッドまでヘアスタイルに登場する時代。それでも「髪は女の命」という言葉が今でもメディアに登場するように、私たちにとって髪の毛は何かしら特別な存在です。最初に女の子に生まれてきたことを意識したのは髪型だった、という女性も多いのではないでしょうか。

 

そもそも髪は人類特有のもの。ケラチンというたんぱく質で構成され、その組織は非常に強固で、数百年~数千年、土の中でもなかなか分解されず形を保つと言われています。エジプトのミイラも人骨と一緒に髪が残っているものも多く存在しています。

 

全身が体毛で覆われた他の動物と違い頭頂部にだけ毛髪があることから、古来からその人の思考や想いが髪に残ると考えられ、世界中で髪をその人の分身としてとらえ、「遺髪」を大切に保管する風習が残っています。

 

また「髪」は抜いてもすぐ生えてくることから再生力の象徴で霊力が宿るという考えもあり、髪が長く伸びやすい女性は霊力を宿しやすいと考えられ、「巫女」や「魔女」など女性に対する神秘性を生み出してきました。

 

▼日本女性の髪の歴史。100年前まで女性の髪形は法律で決められていた!?

 

 

霊力が宿ると考えられていた髪。縄文時代にはすでに髪を長くのばして再生の力を引き寄せようとして髪型へのこだわりが生まれていました。また弥生時代、平安時代になると髪の長さや髪の結い方にも身分や儀式的な意味合いが多く含まれるようになります。

 

源氏物語には光源氏の娘、明石の姫君が3歳となり髪を伸ばし始める髪置きや、生えそろった髪先を肩のあたりで切りそろえる髪削ぎの儀式が描かれていたり、髪を削ぐ役は一族の尊者が務める、などいかに髪が重要視されていたかがわかる描写が多くあります。

 

また万葉集には少女の頃に垂らしていた髪を夫となる男性に結い上げさせる髪上げの儀式の記述があります。

 

「くらべこし振り分け髪も肩すぎぬ 君ならずして誰かあくべき」(伊勢物語)

 

髪上げすべき結婚の時期が近づいてきたけど夫にしたいあなた以外の誰のために髪上げをしようか、と歌っています。髪上げは成人と同時に結婚をも意味し、恋と髪は密接に関係して、このころから長い黒髪は美人の象徴とされるようになります。

 

当時の女性にとって髪が黒く長いかどうかは嫁ぎ先を決める人生を左右する重要なもの。そのような背景から「髪は女の命」という言葉が生まれたのかもしれません。

 

このように背景を見ていくと、自分の分身のような髪を大切にできているかという細やかさや、髪の先までいきいきとした健やかさがあるかどうかが女性に求められていたのかもしれません。

 

そしてこの女性の髪に対する日本社会全体のこだわりはその後も根強く続き、なんとたった100年前まで女性の髪に関する様々な規制がありました。

 

1871年に近代化の象徴として断髪令が出され、その際に女性でも髪を短く切る人が現れましたが、それが社会問題となり、1872年には東京府は女性の断髪禁止令を出すことになりました。その後も断髪する女性が後を絶たず、罰金や拘留の刑事処分まで適応する状況となりました。

 

その後、第一次世界大戦後に西洋化が進み、女性たちが社会進出するにつれて女性の自由は高まっていき、大正期になるとモダンガールと呼ばれる洋装に合うショートスタイルが広まっていきました。さらに第二次世界大戦後にはアメリカから現代女性の三種の神器として「ハイヒール、ファンデーション、パーマネント」が輸入され、髪染めやパーマネントによって憧れの欧米風に近づこうと女性たちの髪はさらに多様化していきました。

 

▼「髪は女の命」に学ぶ、女心

 

 

欧米の影響により、女性の社会的な立場も髪型も自由になって100年。自由を手にした今だからこそ、最近では欧米風ではない日本人らしさを振り返る風潮も増えてきました。ナチュラルメイク、ナチュラルヘア、グレイヘアなどより自然で調和のとれた美しさを求める人も多くなりました。

 

自分の分身である髪を大切にする、愛する人や我が子の分身である髪を大切にする、父母の遺髪を形見にする。髪を大切にすることを通じて、自分やまわりの人達を大切に慈しむ日本女性の「女心」が見えてきました。私たち現代を生きる女性にも見習うべきところがたくさんありそうですね。

 

 

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