2022.7.21
「調和」だとか「愛」だとか、言葉だとすごくわかりにくいけど、踊っていくと感じるんです。(Sakiさん 前編)
Sakiさん
≪プロフィール≫
3歳の頃からフラを始め、全日本チャンピオンMiss Hula Japanを2013年に取得し、2016年にはハワイのフラの聖地・メリーモナークにも出場を遂げ、頂点を極める。現在は同じフラスタジオ出身のMiyuuさんと共にブランドLANAKOIを立ち上げ、日本全国で活動する。
@lanakoi__project(LANAKOI)
@w_a_l_e_a(WALEA)
自然体で、ハワイの海を思わせるような力の抜けた心地よい空気感を持つSakiさん。物心つく前から始めたフラは、Sakiさんにとって常に生活の一部であり、人生そのもの。その踊りは見ているものの心を鷲掴みにし、涙があふれるほどの感動を与えます。
26歳で子供の頃からの夢であったハワイの世界大会で優勝という夢を叶えると、フラのさらなる可能性を広げるため、同じMiss Hula Japanに輝いたフラの同志であるMiyuuさんとLANAKOIという新たな活動を始めました。全てに愛をもって、調和を大切にするフラは Holistic Care そのもの。 フラを通じて様々なことを学び乗り越えてきた彼女たちから溢れ出す想いと感謝の気持ちを、今度はブランドにのせて、より多くの人々に伝えるための活動を続けています。
そんなSakiさんの練習に明け暮れたフラ生活と、フラへの思い、そしてこれまでの経緯についてお伺いしました。
(取材:HANA ORGANIC 四倉)
◆(四倉) SakiさんのInstagramを拝見させていただいて、ハワイに住まわれているのかなと思ってしまうくらい、見てて心地よくなるようなアートワークで、雰囲気があって本当にきれいで。現在はどちらにお住まいなのですか?
◇ (Sakiさん)生まれも育ちも、神奈川県の厚木市なんです。周りは山とか畑ばっかりで(笑)。海は割と遠いんですけれど、仕事先が茅ケ崎のコーヒーのお豆専門店で、海も遠くなくて。 生のコーヒー豆を海外から取り寄せてそこで自家焙煎して提供するという、カフェというよりかは焙煎を専門にしている、プレミアム・スペシャルティコーヒーだけを取り扱うコーヒーロースターです。
メインに動いているのが、Miyuuと一緒にやっているフラのライフスタイルをいろんな形で発信していくLANAKOIというブランドで、いずれはカフェとかを出したいなという思いがあって。それで、たまたまご縁もつながって、今コーヒーをちょっと勉強しているということなんです。
◆ 今は将来の夢に向けて修行中ということですね!それはすごく楽しみです。 最近はフラの活動もされているのですか?
◇ フラはもともと3歳の頃からずっとやっているんですけど、最近はバンドを組んでいて、2018年くらいからかな。Miyuuも一緒に、全員で4人なんですけど、ウクレレと、ハワイアン・スラック・キー・ギターと、フラ2人という感じで、ちょっと異様な(笑)バンドを組んで、CDを出したりもしてライブ活動をやっているんですよ。
◆ Instagramに載せられていた動画が、そのバンドのメンバーの方々ですか?
(動画)
https://www.instagram.com/p/CdyP4JeJEna/
本当に素敵な動画でした。私、実はフラをちゃんと見たことがなかったのですが、フラってこういう動きをするものなの!?っていう衝撃を受けて。いわゆる誰もが考えるフラっぽい動きを想像していたのですが。
◇ そうですよね。見たことのない方だと、ちょっと激しい動きだったりとか、いろいろ想像されるみたいなんですけど、実際は結構ゆったりで、流れるように踊ります。
◆ 踊りって、今までパフォーマンスみたいなものだと思っていたんですけど、Sakiさんが踊られているのを見て、一瞬時が止まったような感覚というか、空気に溶け込んでいってるような動きで。フラって普通のダンスとこんなにも違うのかということをすごく感じました。
◇ 嬉しい~。そうですね、日本だったら巫女さんとかが近いのかなとよく話すんです。神様に捧げる踊りだったりとか、神様を讃えるという面では、日本では巫女がすごく近いんじゃないかなという風に思っています。
◆ 魅せるというより、引き込まれる感じがします。踊っているという感じではないんですよね。
◇ そうなんです。フラってひとつひとつの振り全てに意味を持っているので、そう感じるのかもしれないです。もともとハワイでは自然に色々な物語を例えて、自然への敬意だったりとか、ご先祖様に感謝とか、そういう意味合いがずっと強い踊りだったので、パフォーマンスとなるとちょっとフラは違うかもしれないですね。
◆ ひとつひとつに意味が込められているんですね。
◇ そうです。本当にひとつひとつ、全てに意味があります。
◆ パフォーマンスではなく、祈り。そんなフラをSakiさんがもともと始めようと思ったきっかけはどういうことだったのですか?
◇ もともと始めたのは3歳くらいなので覚えてないんですけど、おばあちゃんがもともとハイカラなおばあちゃんで、孫と一緒に何か習い事をしたいからということで先生に掛け合って。
自分が没頭し始めて本当にフラをやりたいと思うようになったのは、身体でいろんなものを表現したりとかするということに対してすごく魅力があったり、ハワイの本場の人たちのフラを見たときに、「目で悟って語る」みたいなものがすごく魅力だったんですよね。
だから今も続けてるのかなと思うんですけど、でも気づいたときから踊っていたので「寝る、食べる、踊る」みたいな毎日で(笑)。
◆ おばあちゃんとの習い事から始まったんですね!その時の先生が今もSakiさんがフラを教わっている先生なのですか?
◇ その先生は10年ぐらいお世話になって、またその次にKONISHIKIさんがプロデュースしているフラスタジオに変えて、そこで2,3年やった後にだんだんハワイの先生がハラウ(フラの教室)を作るようになってきて、ハワイの先生から習いたいということで今のハラウに移りました。なので今は3か所目ですね。そこでMiyuuとも出会って、16年前くらいになります。16年前だと、18,19くらいのことですね。
◆ 3歳から出会って今までフラにハマって、続けられてきたということは、やはりその動きだったりフラそのものとご自身との相性が良かったのでしょうか。
◇ そうですね、小さいころはたぶん、お衣装を着たり、歌を歌ったりとかするのがただ単に楽しいっていうところから入ったと思うんですけど、でもある程度大きくなって本気でフラをやり始めたときはただうまくなりたいっていう思いで。自分の欲に素直だったんだと思います。
◆ なるほど。そのときは上を目指したい、という感覚だったんですね。でも普段「上を目指そう」と思えるようなものごとってなかなか出会わないし、そう思えるレベルに行きつくこと自体が既に難しいことだと思います。ご自身の中で「これは自分のものにできそうだ」と思えたのは、何歳ごろだったのですか?
◇ やっぱり10代ですかね。一番最初に通っていたところから移って、KONISHIKIさんがプロデュースする場所がパフォーマンスにすごく力を入れていたので、人前で踊るようになって、人から自分の踊りを評価してもらうことが増えてきて、そこからどんどん上を目指したいという気持ちにはなっていきました。
そのときはまだ大会とかは出たことがなくて、パフォーマンスをするときに、いろんな人から声をかけてもらったりとか、パフォーマンスに抜擢してもらったりとか、そういう目に見えた評価がただ単純にすごく嬉しくて。
◆ 周りの人から評価をされるのがただ嬉しい、というパフォーマンスのフラに没頭していた頃から、また新しい師匠に出会うのですよね。その先にはハワイで最も有名なフラダンスの大きな大会(メリーモナーク)に出場されて優勝という躍進をされるのですが、そこまでの道のりをお聞かせいただけないでしょうか。
◇ 10代の頃はやっぱりパフォーマンスにすごく没頭していたので、どういうふうに踊ったらきれいかなとかそういうことばっかりだったんですけど、16年前にMiyuuと出会った今のハラウに移り、パフォーマンスするものではなくてどう内側から表現するかというところに本来のフラがあるっていうことを学ぶようになって、本当に180度フラへの考え方だったり、ものの見方だったり、踊りだけじゃなくて精神面を教えてもらうようになってすごく本当に激変したというか。
自分の踊りももちろんですけど、考え方だったりとか、大会に出るにつれて仲間とどう絆を深めて大会に挑むのか。大会自体も勝ちに行くのではなく自分たちのその先の通過点として考えるという、今のスタジオに入ってから180度踊りへの考え方だったりとか自分の踊りも激変しました。今もそうですね、どんどんどんどん変化していってるので。
◆ それまでのハラウだと、もうちょっと技術のことだったりとかうまく踊ることが大切だったけれど、いまのハラウでは精神のことを大切にしていたのですね。
◇ そうですね。神髄というか、源というか、そこをすごく考えさせられます。
◆ フラの神髄。それってどういうことなのでしょうか。
◇ そうですね。全てに愛をもって、調和を大事にするところが根本なんです。「調和」だとか「愛」だとか、言葉だとすごくわかりにくくて、わかるまでに時間がかかってしまうんですけれど、やっぱり踊っていくと感じるというか。パフォーマンスに自分が専念していた時と、精神力を高めて踊るのでは全然違うし、伝わり方もやっぱり違うし。そんな目に見えない部分、っていうのかな。
◆ なるほど、そうなんですね。頭より身体で表現するときにはじめて「こういうことなんだ」っていうことがわかる。それはきっとちょっとやそっとで習得できることではないのでしょうね。
◇ そうですね。だからやっぱり自分のことを見返して、自分がどうしてここまで踊れているのか、なんで生きていられるのかというところまで考えをシフトしていくと、やっぱり人への感謝だったりとか、大きく言えば自然だったり、地球だったりとか、宇宙だったりっていう、そういうものへの感謝なんだなっていうのを強く思います。
◆ きっとそこが一番、他のダンスとは違うところなのでしょうね。
動きのひとつにひとつに意味があって。でもきっと基礎をすごくやりこんできたからこそその上の階層の、もっと見渡すことができる場所にいけたという、そんな感じもしますね。動きに没頭したとか。
◇ はい。全部があったから本当に今意味があるというか。
◆ 全国や世界にいくことができるほどの練習は、ものすごい練習量だったのだろうと想像できます。やりきったからこそこうしてフラや自分の人生を振り返ることができるのでしょうね。
◇ そうなんです。ハワイではオリンピックと言われる大きな大会に2016年に出たんですけど、その時はやっぱり練習量もそうだし、自分の熱量も全部出し切ってしまったので、そのあと、ポーンと抜けちゃったみたいにやりきってしまって。その時はもう廃人みたいになっていました(笑)
大きな大会に出るっていうのが自分のちっちゃいころからの夢だったので、Miyuuも同じ大会に出たんですけれど、それを叶えてしまって。
◆ そうだったんですね!ハワイでの大会で成績を残して、子供のころからの夢も叶えてしまって。伝統のあるハワイで、一流の人たちがずっと練習をして臨む舞台で団体で総合優勝をするということは、本当に凄いことですよね。
◇ はい。みんなが目指す場所だったので。
◆ どれくらいの期間練習されたんですか?団体戦ということはチームを組んだりされるのですよね。
◇ ちょっと前までたどると、私とMiyuuがソロで日本で大会に出すよと先生たちに言われて、それぞれソロの大会に出てそれぞれ優勝できたんですけれど、その時からハワイの大会に出すことをちょっと先生は考えていたみたいで。
2016年に二人がソロで優勝したから今度はその大会に出させたいという話をもらって、練習を始めたのは1月の終わりで、4月に大会があったので、約3ヶ月くらいですかね。けっこう短いスパンだったんです。
もともとハワイの人たちはその大会に出るためにメンバーがある程度決まっていて、5か月くらい前くらいから練習はしていたんですけれど、私たちは観光ビザだったので(笑)、3ヶ月以上いられないのでそこをすごく計算して、1月末からメンバーにジョインしたという感じなんです。
◆ そんなに短い間に!どんなスケジュールだったのですか?
◇ もう本当に、濃かったです(笑)
飛行機でハワイに着いた日からスーツケースをもって練習場に行って、「ラインに入れ!」と言われて。それくらい急ピッチで。毎日もちろん練習もあるし、あとはやっぱり私たち日本人なので言葉の壁があって、意思疎通はできるけどというくらいしかできなかったので馴染むのにすごく大変で。でもなんとかやりながら練習を毎日こなして、みんなで団結するためにオアフ島の山にキャンプに行ったり。練習も外なので灼熱の中足の裏が焼けたり水ぶくれになったり。ハワイの人達って足の裏が強いんですよね(笑)。よく平気だなって思いながら。食べて寝る以外はトレーニングの日々でした。
曲についてもお互いどう感じるのかとか。その時の曲がハワイの王国の人たちを讃える曲だったんですけれど、それに関して自分はどう思うかとか、この部分はどう感じて表現するのかとか、そういうのをお互いが話し合ったり。
◆ そうですよね。祈りの踊りだから、曲の意味をお互いがどう解釈してどう表現するのかというのが大事で、深いところまで共通理解をもって臨むのですね。
◇ そうなんですよ。うちのフラスタジオがそういうところに力を入れているというところもあるんですけれど、ハワイはほとんどのハラウと言われるフラスタジオでやっています。
◆ 大会へ向けて、踊りも精神の部分も突き詰めていって、途中でもう嫌だ!と思うことはありませんでしたか?(笑)
◇ 練習してるときはほとんど嫌だって思っていました(笑)小さいころから夢に見て、雑誌やビデオを見て夢に見ていた場所だったんですけれど、こんなに大変なのかって思って。練習中先生に怒鳴られるし、でも本気で練習してくださるので、怒られるし呼び出されるし(笑)練習行くたびに早く帰りたいなーって。
◆ それでも二十数年間ずっと、小さいころから続けてきて、辞めなかった。どういう気持ちで続けることができたのですか。
◇ やっぱりなんだろう、辞める・辞めないというよりも、フラが人生にあるっていう感覚で。自分の中で辞めたいなと思っていても、苦しいときだったりやっぱりそう感じるし、何かあればフラができないと思うし、でもそういうときも、いい時も悪いときも全部フラにつながっていて。そういうのも経験として、自分が変化したとき、全部フラに出るんですよね。表現だったり、それが深みになっていって。
どんなに辞めたいと思っても必ずフラが引き戻してくれるんですよね。踊りたくなるというか、もう踊らざるを得なくなるみたいな。本当に常にそばにあって、それが自分の支えでもあったり、そういう存在って言うんですかね。
辞めたくても、一回始めたらフラは全部繋がってるから、辞められないんです(笑)。
◆ Sakiさんにとってフラは表現する手段でもあるし、人生と切っても切り離せないものなのですね。
◇ そうですね、人生そのものです。離れちゃうと、ズレてくるというか、いろんなことのバランスが取れなくなってくるので、やっぱりフラで自分が生きるバランスをとっているのだなということをすごく感じます。
やっぱり踊っていることで健康も保たれるし、精神力も保たれるし、そういう意味で全部のバランスを中心でとってくれているんだなと思っています。
◆ そういう存在があるのって頼もしいですよね。仕事するか、日常生活を送るかというなかで、自分の中心軸をどう持てばいいんだろうと悩むことってよくあります。
◇ そうですよね。そう思うと、フラに出会えてありがたいなとすごく感じます。
幼いころから努力を積み重ねフラの頂点を極めたSakiさん。切っても切り離せない生活の一部であったフラを通じて得たものは「全てに愛をもって調和を大切にする」という生き方そのものでした。後編では、フラの夢をかなえたSakiさんの次の目標と今の活動についてのお話を伺います。
≫恩返しという気持ちもあるけど、自分たちの人生そのものをいろんな形で返していきたい。(Sakiさん 後編)
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